「困った!うちの子預かってほしいなぁ…」そんな時に使えるかもしれない、短期入所とは
冠婚葬祭や仕事の用事など、「この日、どうしても子どもを誰かに預かってほしい…」と思ったことはありませんか?
そんな時のために、「ショートステイ(短期入所)」という制度があります。
あまり知られていないかもしれませんが、障害者手帳を持っていると、小学生くらいから使えることも多いです。
今回は、そんな「ショートステイ(短期入所)」についてお伝えします。
どんな制度なの?
短期入所は、障害がある子(人)を、宿泊込みで預かってくれる支援制度です。
宿泊なしだと「日中一時支援」になりますが、宿泊があると、短期入所という形になります。
期間は1泊〜長くて数週間利用する場合もあると聞いたことはありますが、一般的なのは1泊くらいだと思います。
「ショートステイ」という言い方もしますが、実際にはどちらかというと、「短期入所」と言うほうが多いかもしれません。
ただ、この制度を全く知らない親御さんからしたら、「ショートステイ」の方がとっつきやすいかもしれないですよね。
「入所」というと、なんだか仰々しく感じてしまいますもんね。
しかし、どちらも同じ意味なので、とりあえずここでは「短期入所」と表現します。
急用では使いにくいのが実態
ただ、短期入所は基本的に、「急用」では使えないのが実態です。
本当は、急用や、保護者の急な体調不良の時こそお願いしたいですし、そういう時のためにあってほしい支援だとは思います。
しかし、私がこれまで数々の短期入所の施設にお話を聞いたところ、「そういうタイミングで使える」とはっきり言ってくれる施設に出会ったことはありません。
むしろ、「急に言われても難しい」ニュアンスの方が強いです。
考えてみればよくわかる話なのですが、ベッドの確保や食事の用意など、急に言われても無理がありますもんね。
これまで息子が短期入所を利用してきた経験則から言うと、だいたい3カ月前くらいから予約ができ、そのくらい前ならほぼ希望が通りますが、利用希望日まで1カ月を切っていると難しいことが多いかな、という印象です(タイミングによります)。
では、短期入所の目的は
「本当に困った時というのは急にやってくるのに、急に使えないなんて…」とがっかりした人もいるかもしれません。
しかし、私が相談支援員さんに言われたり、実感として感じる短期入所を利用する目的は、次の3つが大きいのではないかと思います。
①保護者のレスパイト
②本人に、家以外での宿泊や家族以外の人との生活に慣れてもらうこと(将来に向けて)
③定期的に利用することによって、本人と施設双方に信頼関係をつくること
特に、③ができていないとどの施設も受け入れに難色を示すと思います。
なぜなら、どんな子かわからないと施設側も預かるのが不安だからです。
そのため、もし、「どうしても急にお願いしたい事情ができた」という時に運良く空きがある施設が見つかったという超幸運に恵まれたとしても、③ができていないと利用できない可能性だってあるのです。
世の中何があるかわかりませんから、定期的に利用しておくメリットは大きいですよね。
どうやって申し込むの? 2ヶ月前に登録しておく
短期入所の目的やメリットはわかりましたが、どのようにして利用までこぎつけるのでしょうか?
細かい部分は自治体や施設によって違うと思うので、あくまで私の息子の場合ですが、我が家の短期入所を利用するまでの流れは、次の通りでした。
①受給者証を取得
短期入所を利用するには、受給者証が必要になります。
そのため、まずは市区町村の障害福祉課などの窓口(地域差あります)で、「短期入所を利用したいので、受給者証を取得したい」と言って申し込みました。
そこで提示された申請書などを書き、必要書類を準備します。
ちなみに短期入所で使う受給者証は、療育で使うものとは別の、「障害福祉サービス受給者証」です。
受給者証にもいろいろな種類があるので、注意が必要です。
※地域差あるかもしれませんが、障害者手帳を持っていることが、この受給者証を取得できる前提条件である場合が多いです。
②利用したい施設を探す
自力で探すこともできますが、かなり厳しいので、相談支援事業所や児童発達支援センターなどに相談したほうがいいです。
短期入所は療育などとは違って日常的に使う施設ではないので、遠くても他の市区町村でも問題ありません。
範囲を広めにとって探しましょう。
(受給者証は自治体が違っても使えます)
③施設の見学
利用したい施設がみつかったらまず、電話で問い合わせて年齢や障害の種類を伝え、受け入れ可能かを聞きます。
可能であれば、子どもを連れて施設に見学に行きます。
見学をして良さそうであれば利用したい旨を伝え、体験できる日の空きが出たら教えてもらえるように伝えます。
④契約
施設から連絡がきて、体験入所の日が決まったら、受給者証を持って親だけで契約に行きます。
⑤体験入所
1泊の体験入所をします。
この時の様子で、施設側が「この子を預かれそうかどうか」を判断します。
⑥利用可能の連絡
施設側で会議などをして、受け入れ可能だと判断されると連絡がきます。
この時点で、今後好きな時に利用できるようになります。
空きさえあれば…ですが、施設のルールに沿って、予約をしながら利用していくことになります。
ちなみに、私は①の受給者証の取得は比較的すぐ(1か月程度)だったのですが、②でかなりつまずき、一度は諦めてしまいました。
その後、ママ友からの情報で良さそうな施設を知って、③から再度進みはじめたのですが、③から⑤までに3カ月もの時間がかかりました。
その後の⑤から⑥は2.3週間程度です。
そのため、つまずかなかったとしても、申し込んでから利用まで5か月はかかるかな、という印象を持ちました。
ただ、当時コロナ禍で、施設で何度もクラスターが発生して短期入所の受け入れを中止していたことも大きかったと思います。
他にも、施設によっては利用までの流れがもっとシンプルなこともあると思うので、もっと早く利用できる場合もあるかもしれません。
とはいえ、逆に、息子が当時まだ小学2年生だったということで、特例的に女子寮で体験入所をさせてもらったことで、少し早く入所が叶ったというのもあるかと思います。
息子が利用した施設は男の子の利用者の方が多かったので、より空きが出にくい男子寮しか利用できない、もっと高学年の男の子だと、更に時間がかかったかもしれません。
気になったら今すぐ行動!手元にあって損はない「短期入所」というカード
短期入所は、使いたいと思っても急には使えないし、利用できるようになるまでに数ヶ月を要する、なかなかハードルが高い支援制度かもしれません。
しかも、使える資格も、障害者手帳を持っているなど、場所によっては限られた人しか使えない可能性があります。
しかし、使えるようになれば、非常に頼りになる制度です。
障害がある子どもを泊まりで預けられる場所や人など、なかなかないのですから。
この短期入所の受給者証は、持っていても使わなくても、特に問題ありません。
この記事を読んで気になったのであれば、ぜひ、役所の障害福祉課などの窓口に問い合わせてみて下さい。