突然ですが、「発達障害」をきちんと説明できますか?
「知的障害と発達障害って、何が違うの?」
「なんとなく、発達障害より知的障害の方が重い脳の障害って感じがするけど」
以前、別の記事でも書きましたが、息子に自閉症と知的障害があることを友人に話したら、こう返ってきたことがありました。
この疑問に対する正しい答えを探ろうと、以前「知的障害」と「自閉症」についての記事を書きました。
でも「発達障害」も、正確に説明できる人って実はそんなに多くないのではないでしょうか。
私自身もちょっと自信がありませんでした。
知的障害についての記事同様に、またしても一番根本的なところに立ち返りますが、今回は、「発達障害って何なのか」について改めて考えてみました。
発達障害の定義ってなに?
これも、知的障害の記事で書いたこととかぶりますが、先の質問を友人にされた時、私は友人にこう答えました。
「知的障害は、IQ(知能指数)が70以下の人のことをいう」
「発達障害は、発達の程度に凸凹がある人のことをいう」
そこまで間違ってもいない回答かなと思いますが、改めて調べてみると、発達障害の方も、ド正解でもないかもしれません。
発達障害については、発達障害者支援法という法律で以下のように定義されています。
発達障害者支援法において、「発達障害」は「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」(発達障害者支援法における定義 第二条より)と定義されています。
引用元:国立障害者リハビリテーションセンター 発達障害情報・支援センター 「発達障害とは」
発達障害とは | 国立障害者リハビリテーションセンター (rehab.go.jp)
まず、定義づけの中に難しい言葉がいっぱいでてきてわかりづらいですよね。
発達障害は、定義の中にあるように、発達に関わる様々な障害をひとまとめにした総称とも言える言葉です。
「自閉症」の記事でも登場しましたが、それぞれの障害の相関を図で書いたほうがわかりやすいと思ったので、以下私なりにざっくりとした発達障害の相関図です。
図で重なっている所は、併発する可能性がある障害ということです。
逆に重ならない所は、障害の性質的に併発することがないということです。
こうやって見ると、発達障害は、いくつもの障害が複雑に関わりあって存在するものだということがわかります。
発達障害の相関図の中に知的障害も書きましたが、知的障害はまた少し、位置づけが違うかもしれません。
以前、厚生労働省のホームページで「発達障害の一つ」と書かれていたのを見たことがありますが、発達障害の定義では特に触れられていませんし、曖昧なところなのかもしれません。
ただ、私の息子は知的障害を伴う自閉症があるので、いずれにしろ「発達障害」であることに変わりはないと思います。
知的障害と発達障害は、どちらが重い障害だというわけでもありません。
性質が違うものですし、併発している場合も多いので、比較のしようがありません。
では、発達障害の全体像がわかったところで、一つ一つの障害について詳しく見ていきたいと思います。
自閉症スペクトラムとは
自閉症については、以前別の記事で紹介しました。
こちらをどうぞ。
学習障害とは
学習障害は、通称LDと言われます。
名前の通り学習面において、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論するなどの能力に、著しく苦手なものがあるという障害です。
知的の遅れはありません。
知的の遅れだけでなく、何か他の障害の影響で苦手が起きている、というわけでもありません。
環境的な要因もなく、理由ははっきりしないけれど、学習面だけに問題がある、という障害です。
注意欠陥多動性障害とは
注意欠陥多動性障害は、通称ADHDと言われます。
ADHDは、実際の年齢や発達段階に不釣り合いな、注意力、衝動性、多動性の障害です。
知的障害と併発する方もいますし、知的の遅れが無い方もいます。
定義では、7歳以前に現れてその状態が継続する、とありますが、知的の遅れがないADHDだと、大人になるまで気づかれない方も多くいます。
子どものADHDだと、「多動」というイメージが強いのではないでしょうか。
突然道路に飛び出してしまう、危険を顧みず動き回ってしまうなど、親としては安全確保に細やかな注意が必要です。
私が思う「発達障害」
息子は発達障害ではありますが、自閉症(ASD)と知的障害なので、それ以外の発達障害であるLDやADHDについては私も詳しくわからないところが多いです。
というのも、発達障害は範囲が広く、障害によって特性も全く違うからです。
ASDの人とADHDの人だと、むしろ真逆かな?という印象を受けたりもします。
でも、ここからはあくまで私の主観なのですが、息子を見ていると、発達障害は「極端」の障害だなと思うのです。
「発達凸凹」という言葉があるように、発達段階に凸凹が激しい、とも言えます。
すごく苦手な分野があるけれど、逆にとびぬけて得意な分野もある。
普通の人以上に、得意苦手のふり幅が大きい、極端な人たちなのだなと感じています。
以前医者から言われたのですが、「発達の遅れ」と一言で言っても、遅れ方によって疑う障害が違うそうです。
どこか一部分だけすごく凹んでいるけれど、他は定型と同じもしくはそれ以上の凸になっている場合は、発達障害。
実年齢に比べて、全体的にまんべんなく送れていたら、知的障害だと。
でも私は、この2つの障害の違いの話はとてもしっくりきました。
また、息子はASDなのですが、ものすごく慎重で、あらゆることを石橋を叩いて叩いて叩きまくって壊すようなタイプです。
多動の逆で、動かなすぎることに手を焼きます。
ADHDのお友達を見ていると、こういう息子の特性と、真逆の困りごとがあるようです。
そのため発達障害は、普通を起点として、どちらかの方向に極端にぶれてしまう障害、というとイメージしやすいのかなと思いました。
「発達障害ってどんな障害?」と聞かれたら
最後に、もしあなたが「発達障害ってどんな障害?」と聞かれたら、やはり次のように答えるのが適切なのかなと思います。
「発達段階に凸凹があって、得意と苦手の差が激しい人たち」
発達障害は見た目にはわからない障害なので、誤解を受けて、つらい思いをしている親子も多いのではないでしょうか。
この記事から、少しでも多くの方に、発達障害の認知が進むといいなと思います。
ここでは書かなかった息子のもうひとつの障害、「知的障害」についてはこちらをぜひ読んでみてください。