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障害児にとっての「自立」とは?親がすべてを抱え込まないで

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アマミ
アマミ

こんにちは!

障害児ママライターの
べっこうあめアマミです。

知的障害を伴う自閉症の息子ときょうだい児の娘を育てながら、
「障害がある子ども」ではなく
「障害児のママ」に軸足をおいた発信を続けています。

障害児育児をもっと楽に、
ママの笑顔につながればうれしいです。

「自立」という言葉を聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?

自分で身の周りのすべてのことをこなせるようになり、生活面でも、大人であれば経済面でも一人ですべてをまわせるようになること…?

しかし、障害(児)者の自立は、それだけではないようです。

今回は「自立」と「依存」についてのお話です。

「自立」とは、「依存」先を増やすこと…熊谷晋一郎先生の言葉

「自立」とは、「依存」先を増やすこと

これは東京大学先端科学 技術研究センター、当事者研究分野の准教授で小児科医でもある熊谷晋一郎先生の言葉です。

熊谷先生はご自身も、出生時の新生児仮死の後遺症で脳性マヒとなり、車いす生活を送っています。

私はある時、偶然つけていたテレビ番組で先生が語るこの言葉を聞いて、大きな衝撃とともに深い感銘を受けました。

「自立」「依存」、両者は相反する言葉のように思いますが、実はそうではありません。

例えば、薬物など何らかの依存症の場合を考えてみて下さい。

もちろん、依存症に陥ってしまう人には語り切れないさまざまな背景があるとは思いますが、虐待など何らかの「身近な人に依存できない」状態から、モノに依存して陥ってしまうケースは多いのではないでしょうか?

熊谷先生は、

「依存症の根本は、依存できなくなることにある」

ともおっしゃっています。

障害(児)者の場合は、そもそも社会において、依存できる先がとても少ないです。

この世界は、あらゆるものが健常(児)者向けにできているからです。

そうなると、障害児者は家族に依存するしかなくなり、「自立」とはほど遠い状態になってしまいます。

これも熊谷先生の受け売りですが、自立とはその逆の、「依存先が広がっている状態」なのです。

できることを増やすのは大切なこと、でもそれだけではなくて…

子どもに何らかの障害があると、親としては少しでも健常の子どもに近づけるように、幼少期から療育やらリハビリやら通院やら、一生懸命行動するものです。

私の息子の障害は知的障害と自閉症ですが、他の種類の障害であってもそれは同じなのではないでしょうか?

もちろん、それは素晴らしいことですし、幼いうちだから高い効果が表れるということもあるでしょう。

しかし、

アマミ
アマミ

あんまり一生懸命になりすぎると、親も疲れてしまいませんか?

私も息子が1歳台の頃から療育に通い、病院に通い、いろいろなことをしてきました。

でも、そのすべてが思うような効果を生み出したかというと、そうでもありません。

息子の成長を大きく促したこともあるとは思いますが、もともと生まれ持った彼のポテンシャルもあります。

アマミ
アマミ

なるようにしかならない

というのが本音です。

だからかもしれませんが、ある頃から私は、息子が「できることを増やす」だけではなく、「助けてくれる人を増やす」方にも重点を置くようになっていきました。

それはまさに、熊谷先生の言う「依存先が広がっている状態」を求める考え方に近いかもしれません。

一人で行動できない息子は、依存先を増やすことで行動範囲が広がった

息子は今、特別支援学校に通っています。

学校まではスクールバスにのって行き、曜日によってはスクールバスのバス停までも、移動支援のヘルパーさんと一緒に行きます。

学校が終わったら学校まで放課後等デイサービスの方が迎えに来てくれて、息子は放課後等デイサービスで放課後の時間を過ごします。

そして放課後等デイサービスがない日は移動支援のヘルパーさんとお散歩に出かけたり…。

こんな風に、息子の毎日は、親である私たち以外のたくさんの人たちの関わりによって成り立っているのです。

息子は重度知的障害があり、話すことができませんし、身の周りのことも一人ではすべてできず、「自立」とは一見ほど遠い状態です。

しかし、そんな息子も日によっては、他の同じ年頃の子どもと同じように、「いってきます」と家の玄関で親と別れて家を出て、夕方「ただいま」と帰ってきます。

これはまさに、「依存先」を増やすことで息子なりに「自立」に向かっていると言える状態なのではないでしょうか。

親と離れて行動することに慣れた息子は、一人でお泊りもできます。

数ヶ月に一度くらいの頻度ですが、たまに短期入所の制度を使い、施設にたった一人で一泊して帰ってくるのです。

家族と離れて泣いてしまうこともありませんし、本人は

息子
息子

じゃあいってくる

というような感じでふらっと行って帰ってきます。

子どものためにも、「親だから」とすべてを抱え込まないで

定型発達の子どもでも、親は子どものことが心配でならないものでしょう。

ですから、障害がある子どもであればなおさら、親は子どもと離れるのが心配でたまらず、

障害児ママさん
障害児ママさん

なんでも自分がフォローしなければ

とがんばりすぎてしまうかもしれません。

しかし、親はいつかは子どもと離れるものです。

子どもより先に亡くなるのが親の常ですからね。

子どものことを心配に思うあまり、何でも親が抱え込んでやってしまっていたら、子どもだっていつまでも親から離れられません

そして、親の体ももたなくなってしまいます

親の自分が元気でいることが、子どものためでもあるよね

障害児ママさん
障害児ママさん

子どもの「自立」について、「子ども自身が自分でできるようになる」ことだけに絞らずに、「親以外の依存先を増やす」ことにもシフトチェンジして、少し肩の荷を降ろしてみませんか?

そうはいっても支援の手に届くのはなかなか大変かもしれませんが、きっと助けてくれる人たちはいるはずです。

どうか、「親だから」とすべてを抱え込まずに、たくさんの人に頼りながら、子育てしていってください。

ABOUT ME
べっこうあめアマミ
べっこうあめアマミ
障害児ママライター
ライター&イラストレーター。知的障害を伴う自閉症の息子ときょうだい児の娘を育てながら、電子書籍作家としても活動しています。「ママがしんどくて無理をして、子どもが幸せになれるわけがない」という信念のもと、「障害がある子ども」ではなく「障害児のママ」に軸足をおいた発信を続けています。
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